コーヒー生産地と協働する会
農業でもっとも大切なのが「土」。土壌は植物に水や養分を供給し、有機物を分解し、生物の成育に大きな影響を与えるもの。肥沃な土壌の代表格である火山灰土壌とは火山から噴出した砕屑物(さいせいぶつ:火山から噴出された固形物のうち、溶岩以外のもの。岩塊、礫、灰、軽石など)が堆積して長い時間をかけて生成した土壌。色は黒く、浸透性と保水性にすぐれ、ふかふかしているため耕しやすい特徴があります。その反対に痩せて劣化した土壌とは、有機物がほとんどない赤茶けた色をしており、保水力がないため、水が表層をすべるような感覚。砂漠のような状態を思い浮かべてください。土壌は一旦砂漠化し始めると「劣化」の一方向にしか進みません。砂漠化した土地にもういちど草木を蘇らせるのは大変困難なことなのです。
現在、貧困地域のコーヒー産地では農地の開墾による土壌流出の影響で、農地の土は劣化の一途を辿り、コーヒーの実は品質・収量ともに下降の兆しが現れています。それでも貧困にあえぐ農家の人々は日々の生活に追われ、費用も手間もかかる土壌改良という選択肢を選ぶことはできません。いちど劣化してしまった土壌をもとに戻すことはとても困難ですが、今すぐ土壌改良に着手すれば、まだ間に合います。わたしたちは、土壌改良の支援を通してコーヒーの実の収量を増やし、次の世代にも受け継がれるような経済的な自立を目指しています。やがて、その輪がひとつの農家から農村全体へと広がり、豊かな土壌が育まれ続けることを願っています。
土壌改良を協働で行うためには、農家ひとりひとりの協力と意識改革が欠かせません。これまでルワンダ南部フイエ郡にある6つの村で試験農場を作り、地道な農業指導により信頼関係を築いてきました。試験農場での土壌改良の結果、収量・品質(コーヒーの実の熟度)の改善がみられ、「土壌改良」の効果が現れはじめています。こうした協力農家が「モデル農家」となり、周囲の農家へと波及効果をもたらすことを狙っています。
物理的調査+化学的調査農地に大量の肥料を与えれば効果があるのではなく、土壌に必要な成分を調査し、適正に投与することで余分な手間とコストも防げます。
コーヒー農地としての可能性を判断●コーヒー農地としての可能性がある場合土壌にあった肥料を選び施肥を行うと同時に、コーヒーの木の剪定の指導を行いコーヒー農地全体をより良い状態へと改善していきます。●コーヒー農地として適さない場合
コーヒーの実の収量と品質の比較 試験農場での土壌改良の結果、収量が前年度比で約2倍となり、品質の向上にもつながることが確認されました。